伸銅業におけるリサイクル率の考え方について
リサイクル率のISO 14021(JIS Q 14021)での定義
製品又は包装中に含有するリサイクル材料の質量比。
X(%)= (A / P)×100
ここで、
X はリサイクル材料含有率(=リサイクル率)
A はリサイクル材料の質量(=リサイクル材料使用量)
P は製品の質量(=製品量)
X はリサイクル材料含有率(=リサイクル率)
A はリサイクル材料の質量(=リサイクル材料使用量)
P は製品の質量(=製品量)
☆プレコンシューマ材料及びポストコンシューマ材料だけをリサイクル材料とみなさなけれ
ばならない。
ばならない。
プレコンシューマ材料とは |
製造工程における廃棄物の流れから取り出された材料。 その発生と同一の工程で再使用できる加工不適合品,研磨不適合品,スクラップなどの再利用を除かなければならない。 |
ポストコンシューマ材料とは |
家庭から排出される材料,又は製品のエンドユーザとしての商業施設,工業施設及び各種施設から本来の目的のためにはもはや使用できなくなった製品として発生する材料。 これには,流通経路から戻される材料を含む。 |
伸銅業における「製品量」及び「同一工程」の考え方
製品量
一般的には、顧客に対するアウトプット量(生産量や出荷量等)が製品量と考えられるが、伸銅業においては、溶解鋳造工程への材料投入量から自家発生屑量を減じた量がそのまま製品量にはならない。これは、溶解時揮発成分等による質量の滅失や別材質への転用、更には精錬業への戻り発生(いわゆる“山送り”)等が存在するためである。
また、伸銅品においては、リサイクル率は溶解鋳造工程で確定され、それ以降の工程では変化しないという特徴がある。
そこで伸銅業では、「製品量」を顧客へのアウトプット量にするのではなく、溶解鋳造工程でのアウトプット量から自家発生屑(インターナル屑)量を減じたものを「製品量」として定義した。
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同一工程
伸銅品製造工程中で、どこまでを「同一工程」と見なすかの判断により、自家発生屑をプレコンシューマ材料と見なすかどうかの判断が変わってくる。
そこで、「同一工程」の考え方を 2 つのパターンに分けてそれぞれのリサイクル率計算式を定義した。
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パターン A |
伸銅品製造工程内の各工程から出た屑等(自家発生屑)の再利用は溶解鋳造工程に戻すしかない(屑の出た工程での再利用は難しい)ため、溶解鋳造工程のみを「同一工程」と定義する(JIS(ISO)の考え方)。 この場合、溶解鋳造工程以降の工程で発生する自家発生屑はリサイクル材料(プレコンシューマ材料)と見なされる。 ただし、歩留まり率とリサイクル率はトレードオフの関係になるという問題点がある。 |
パターン B |
伸銅品製造工程全体を「同一工程」と定義する。この考え方は、鉄鋼業界でも取り入られている考え方である。この場合、全ての伸銅品製造工程での自家発生屑は、全てインターナル屑の扱いとなる。 リサイクル材料(プレコンシューマ材料)とは見なされず、リサイクル率計算式の分子から除外される。 リサイクル率は、パターン A よりも下がる傾向となる。 |
リサイクルのフロー図及びリサイクル率計算式
パターンA及びパターンBにおける材料のフロー図とリサイクル率計算式を、図1及び図2に示す。なお、図中の番号は以下となる。
①:電気銅(①‘:電気銅中の屑由来分)
②:合金用添加元素(②‘:合金用添加元素中の屑由来分)
③:自家発生屑(インターナル屑として取り扱う)
③’:自家発生屑(プレコンシューマ材料として取り扱う)
④:プレコンシューマ材料
⑤:ポストコンシューマ材料
②:合金用添加元素(②‘:合金用添加元素中の屑由来分)
③:自家発生屑(インターナル屑として取り扱う)
③’:自家発生屑(プレコンシューマ材料として取り扱う)
④:プレコンシューマ材料
⑤:ポストコンシューマ材料