吉田会長の年頭所感

一般社団法人 日本伸銅協会 会長 吉田 政雄

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平成26年の新春を迎えまして、謹んでお慶び申し上げます。

昨年を振り返ってみますと、新政権による各種の政策効果に加え、米国を始めとする世界経済の緩やかな持ち直しにより、我が国経済も次第に景気回復感が高まってまいりました。特に、為替が年初より円安基調で推移致しましたので、輸出競争力や企業業績も徐々に改善を見せてまいりました。

このような状況下、私どもの伸銅品需要は、年の前半は苦戦を強いられましたが、7月以降は前年を上回る水準となり、尻上りの増加傾向となってきました。板条製品では低迷を続けていました半導体の回復に加え、自動車向けの好調に牽引されて前年を上回ってまいりました。黄銅棒も住宅関連の需要にようやく回復感が見られてきました。また輸入エアコンの増加や輸入品の増加で不振の続いていた銅管も、秋口になり前年を上回るようになってきました。

こうしたことにより、平成25年暦年の伸銅品生産は、上期のマイナスを下期でカバーし、前年を僅かに上回る77万トン程度となる見通しです。

平成26年の我が国経済につきましては、4月の消費税引き上げの影響により4-6月はマイナス成長が予想されますが、7-9月以降は政府による経済対策や輸出環境の改善などにより緩やかな回復基調に戻ることが期待されます。為替についても引き続き100円台の円安傾向が継続すると予想され、景気の回復基調を後押しするものと想定しております。

伸銅品の需要につきましては、自動車や半導体等を主な需要先とする板条製品が本格的に回復に転じ、伸銅品需要を牽引することに期待したいと思います。黄銅棒につきましては、消費税引き上げ後の住宅需要の反動減は想定されますが、年間を通しては前年を超えることを期待しております。銅管については、従来ほどの需要期と不需要期の区別も少なくなり、年間を通し現行の生産能力の範囲内の生産となるものと思われます。
このようなことから平成26暦年としては、期待の足し算ながら80万トンに到達すると見込んでおります。

然しながら、伸銅業の生産量はリーマンショック以前には年産100万トンの水準を維持していたことを考えますと、80万トンの水準は業界環境としては大変に厳しいレベルではあります。日本のユーザー業界の海外への移転、パソコンや携帯電話などに使われる電子部品の機能の変化や小型化による素材の軽薄短小化、中国・韓国等の近隣の伸銅業の技術水準向上、銅価高による他素材への代替、等の要因が重なりトレンド的には国内伸銅需要の縮小が続いております。

このような厳しい環境下で伸銅協会が取り組むべき中期課題と致しましては、近年の伸銅品需要の縮小傾向から脱却し、安倍政権と同様に成長戦略の筋道を立て、それを着実に実施に移していくことであります。
伸銅協会では、昨年度から将来の伸銅品需要の回復に向け、新規需要や新規用途に繋がる調査や伸銅技術の開発に向けた伸銅品アクションプランの活動をスタートしました。日本が先端を行くHV・EV等の次世代自動車、次世代送配電網のスマートグリッド化、風力・太陽光などの再生エネルギー分野、スマホ・タブレットなどの情報端末の分野等におけるハイエンドの高機能材を中心とする需要の開拓、新興国向けの大きな潜在需要の追及や銅の殺菌性能を生かした予防医療分野の需要開拓またリサイクル原料の使用比率拡大等につきまして、幅広く検討を進めております。
この活動の実効を上げていくためにも、ユーザーのニーズにより接しておられる流通業界の皆様、またより専門的な知識をお持ちのリサイクル業界の皆様との連携を一層深めていきたいと強く望んでいます。

伸銅品に関する新たな需要開拓を進めるため、基礎となる産学の連携による銅の使い方や優位性の研究開発を活発化し、今後の伸銅業の発展に向けた取り組みを強化していくことが重要な課題であります。「日本銅学会」の活動を支援し、日本銅学会とユーザーを巻き込んだ産学官による共同開発を推進することで、伸銅分野においても世界に先駆けた「日本発」の技術開発を進めていきたいと強く願っています。

日本伸銅協会は、こうした課題の一つ一つに全力で取り組んでまいります。そのためには、流通業界並びにリサイクル業界を始めとする関係業界のご理解とご協力を頂くと共に、関係官庁のご支援が必要なことは言うまでもありません。引き続き皆様方のご指導とご鞭撻を賜りますよう改めてお願い申し上げます。

最後にあたりまして、本年の皆様方のご健康とご多幸をお祈り致しまして、私の新年のご挨拶とさせて頂きます。