平成26年 年頭所感

経済産業省製造産業局 非鉄金属課長 及川 洋

平成26年の新年を迎え、謹んでお慶び申し上げます。また、昨年は経済産業行政に対する深いご理解と格別のご支援を賜りましたことを厚く御礼申し上げます。

我が国の経済は、長引く円高・デフレ不況や東日本大震災による影響の中、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略からなる「三本の矢」に一体的に取り組む政府のもとで、景気回復への一歩を踏み出したところであります。

昨年、経済産業省としては、円高・エネルギー制約の高まりの中で、産業競争力強化・空洞化防止に資する最新設備・生産技術等の導入支援や、ものづくり中小企業等が実施する試作開発・設備投資等の支援などを実施してまいりました。他方で、我が国がおかれている状況に目を向けると、被災地の復興・再生、原子力発電所事故への対応、電力料金の値上げ、少子高齢化に伴う国内市場の縮小、国内産業の空洞化等、やはりまだ多くの課題が残されております。

グローバル競争に勝ち抜ける製造業の復活なくして日本経済の再生はありません。過剰規制を打破するための規制改革の推進、過少投資・過当競争の是正に繋がる産業の新陳代謝の促進等を盛り込んだ産業競争力強化法に基づく各種施策の展開など、今後も当省一丸となって大胆な政策に取り組み、製造業の収益改善を賃金や雇用の拡大につなげ、それが消費の拡大、生産の拡大につながるという経済の好循環、ひいては民間主導の持続的な経済成長の実現を目指してまいります。

我が国製造業の競争力を支えておりますのは、非鉄金属業界を含む部素材産業であります。部素材産業の市場規模は相対的に小さくても高いシェアを確保している製品を多数有しており、サプライチェーンの中核を担う存在であります。この部素材産業の競争力強化なくして、グローバル競争に勝ち抜ける製造業の復活を成し遂げることはできません。

当省では昨年から「革新的新構造材料等技術開発」をスタートさせております。これは平成24年度から始まった「未来開拓研究プロジェクト」といわれる官民連携の大型研究開発プロジェクトの一つであり、社会へのインパクトや研究開発のリスクが大きく、我が国が将来にわたって強みとすべき技術分野について官民の強力なコミットの下、10年間を目処に研究開発を行うものです。

この「革新的新構造材料等技術開発」は、特に輸送機器などに用いられる構造材料に着目して技術開発を行うもので、国が関与する技術開発としては久々にベースメタルを対象としております。

具体的には、自動車・航空機・鉄道車両の抜本的な軽量化・低燃費化に向け、製品のマルチマテリアル化を可能とする異種材料の革新的な接合技術の開発や新たなチタン材、アルミニウム材、マグネシウム材、鋼材、炭素繊維強化樹脂等の構造材料そのものの高性能化に係る技術開発を一体的に推進することとしております。

それぞれ個性のある優秀な材料を育て、これらを適材適所で組み合わせ使えるようにする、こうした技術を最終製品メーカーとともに世界に先駆けて実現することで、部素材産業の競争力強化につながるものと確信しております。

また、エネルギーの消費量の多い製造業において、エネルギー調達をどこに求めるかということは重要な課題の一つです。その一方、国内の一次エネルギーの7割が、熱として失われているという現状があります。

昨年からスタートした「未利用熱エネルギー革新的活用技術研究開発」においては、未利用のまま捨てられていたエネルギーの低減・回収を目的に、遮熱・蓄熱・断熱・排熱発電・熱電変換・ヒートポンプ技術といった各要素技術やそれらを適材適所に組み込む熱マネジメント技術の開発を行います。

エネルギーの利用効率を極限まで上げる技術を世界に先駆けて実現することで、我が国製造業が国内で安定的に高付加価値な製品を生み出し、産業競争力強化に貢献するものと考えております。

伸銅業界においては、国内市場の頭打ちや川下企業の海外展開による需要の減少、エネルギーコスト上昇などと厳しい事業環境にあると認識しております。こうした事業環境の克服と業界の更なる発展に向けて、産業競争力強化法や平成25年度補正予算案や平成26年度当初予算案などの各種施策もご活用いただきながら、政府としても支援してまいりたいと考えております。

昨年、非鉄金属業界において、いくつかの経営統合・事業再編がなされましたが、これは経営資源の合理化、世界市場での事業展開、生産性の向上等による競争力強化を目指すものであり、当省としても大変評価しており、統合の効果が表れることを大いに期待しております。

事業再編の具体的内容は、個別の事情に応じて民間が自由に発想するものでありますが、事業の切り出し、統合等により経営資源をより有効に活用しながら、新商品開発や新たな市場の開拓等の前向きな取組があれば、今後とも産業競争力強化法のスキーム等を通じて支援してまいりたいと思います。

最後になりますが、本年も相変わらぬ関係各位のご理解とご支援をお願い申し上げるとともに、皆様のますますのご発展を祈念しまして、新年のご挨拶とさせていただきます。