髙橋会長の年頭所感

一般社団法人 日本伸銅協会 会長 髙橋 徹

平成25年の新春を迎えまして、謹んでお慶び申し上げます。

平成24年の我が国経済を振り返りますと、前年に発生しました東日本大震災やタイの洪水等の影響からの回復が期待され、1-3月には一旦底入れを見せ春先からは順調に回復を示し始めました。しかしながら、欧州の金融不安に端を発した中国経済の減速基調、超円高の定着、半導体・電子機器分野の一段の落ち込み、復興需要の本格化の遅れなどにより日本経済は夏前から再び減速を始めました。秋口からの中国での日本製品不買運動等もそうした減速に拍車をかけることとなりました。

このような状況下、私どもの伸銅品需要は、苦戦した1年でありました。板条製品では低迷を続けます半導体・電子機器向けに続きまして、自動車向けも秋半ばより落ち込みを見せております。黄銅棒もその回復には力強さに欠ける動向が続きました。また銅管は、製造メーカーの1社が国内生産から撤退された事の影響を大きく受けました。

こうしたことにより、平成24年暦年の伸銅品生産は前年の82万トンから77万トン台と、3年振りの80万トン割れとなる見通しです。それ以前では昭和53年の78万トン以来の34年振りとなります。

平成25年の我が国経済につきましては、昨年後半の落ち込みの反動もあり、大きな回復は期待できないものの、海外需要の持ち直し等により、再び景気回復へ向うことが期待されます。足許の為替の円安傾向もこうした動きを後押しするものとなります。また、新政権による景気対策がこの動きに大きな弾みをつけることを強く期待する次第であります。

また、伸銅品の需要につきましては、板条製品は、国内半導体事業の低迷が続いていることから、リードフレーム向けの回復が遅れており、数量の戻しも微増に留まるものと思われます。自動車向けは、中国の動きも鎮静化し再び増加に向うことを期待したいと思います。黄銅棒につきましては、震災復興に伴う需要が回復基調を後押しすることと思われます。銅管については、国内生産の省エネ型エアコンの需要に動きが見られることから、需要期における3社での銅管の供給体制を整えることが求められております。
このようなことから全体としては、中期見通し並みの80万トンを少し超える需要量を見込んでおります。

伸銅業が直面致しますこうした困難さの背景には、国内の製造業、とりわけ組み立て産業の競争力低下が挙げられております。日本の産業界が直面する六重苦の中でも、円高、貿易の不均衡、法人税の是正等の対応により、 国内産業の空洞化に歯止めが掛ることを切に求めていきたいと思います。
また、電力料金の値上げも伸銅業のコストに係る大きな課題であり、昨年の東京電力続き、関西、九州に対し何らかの発信を検討したいと思います。

このような厳しい環境下で伸銅協会が取り組むべき中期課題と致しましては、近年の伸銅品需要の縮小傾向からかつての100万トン水準への回帰への道筋を立て、それを協会会員間で共有していくことであります。
現在行っている、リーマンショック以降の伸銅品需要の減少要因を精査することにより、足許の閉塞的な状況への対応を「アクションプランの見直し」としてお示ししていきたいと思います。新しく取り組むべき需要分野や新興国の潜在需要に加え、リサイクル原料の使用や技術開発の課題にも踏み込めればと存じます。
こうした作業を通して、ユーザーのニーズにより接しておられる流通業界の皆様には調査へのご協力を頂きまして有難うございます。
また、リサイクル業界の皆様には、今後とも良質なリサイクル原料の確保等について、ご協力を仰ぎたいと思います。

伸銅品に関する新たな需要開拓を進めるため、基礎となる産学の連携による銅の研究開発を活発化し、今後の伸銅業の発展に向けた取り組みを強化していくことは重要な課題であります。銅に関する産学連携の研究が一層推進されるよう、「日本銅学会」を支援して参りたいと思います。

なお、本年5月には、世界銅加工業者協議会(IWCC)のJoint Meetingが東京で開催されます。世界中から銅の関係者が勢揃い致しますので、日本側も皆様とともに受入れを行っていきたいと存じます。

日本伸銅協会は、今年もこうした課題の一つ一つに全力で取り組んでまいる所存でございます。そのためには、本日ご参集頂いております流通業界及びリサイクル業界を初めとする関係業界のご理解とご協力を頂くと共に、関係官庁のご支援が必要なことは言うまでもありません。引き続き皆様方のご指導とご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

最後に当りまして、本年の皆様方のご健康とご多幸をお祈り致しまして、私の新年のご挨拶とさせて頂きます。