平成25年 年頭に寄せて

経済産業省  製造産業局長  菅原 郁郎

kannhara

平成25年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

我が国製造業はグローバル競争に晒されており、円高やエネルギー制約の中で、国内の空洞化が進行しつつあります。これまで雇用や経常黒字を支えてきた製造業の復活なくして日本経済の再生はなく、世界で勝ち抜くために必要な競争力強化策を検討し、それを実施することが不可欠です。経済産業省としましては、まずは以下の施策に重点をおき、製造業からの日本経済再生を推進してまいります。

第一に、国内の産業空洞化を阻止するため、国内事業環境の整備を進めてまいります。我が国製造業の国際競争力を高めることができるよう、例えば、先端設備投資等の促進や、イノベーション基盤の強化、エネルギー制約克服のための省エネ・自家発電設備導入支援等を行ってまいります。また、ものづくりに不可欠な資源の安定供給の確保、代替材料開発、使用量削減技術の開発等を支援します。税制面では、車体課税の抜本的見直し、研究開発促進税制の拡充、グリーン投資減税の拡充等、経済産業省として様々な改正要望を行っており、その実現に努めてまいります。

第二に、グローバル市場の成長を我が国の経済成長に取り込むため、更なる海外需要の獲得を目指します。まずはその基盤として、国益に即して、高いレベルの経済連携を積極的に推進してまいります。その上で、インフラ分野における官民一体となった新興国需要の受注獲得や、特許技術と標準化技術を戦略的に組み合わせたビジネス戦略等を後押しいたします。

第三に、次世代産業の創出・育成を進めてまいります。既存産業の活性化を進める一方で、市場拡大が見込まれる成長分野に集中的に投資することが重要です。具体的には、次世代自動車の導入促進、我が国が最先端の研究をリードする再生医療の実用化・産業化に向けた制度の見直し、生活支援や事故対応等に資するロボットの研究開発支援等を行ってまいります。

このように、製造業全体の取組を実施していく中で、特に近年、国際競争力の高さと世界への影響力の大きさの面で注目を集める我が国部素材産業の支援に取り組みます。このうち、次世代自動車を含む輸送機器の軽量化や、太陽光や風力をはじめとする再生可能エネルギー発電設備等に用いられる高品質・高性能な部素材の分野は、今後の大きな需要が見込まれる次世代成長分野を支えるとともに、我が国の経済及び産業の国際競争力を維持・強化する上で、中核を担う分野であると認識しております。このような分野については優れた技術及び知見を有する産学官が素材・業界横断的に一体となり、国家戦略として省を挙げた支援に努めてまいります。
具体的には、研究開発段階から事業化を志向して推進する「未来開拓研究制度」のもと、次世代の素材分野の国際競争力の強化を目指し、「革新的新構造材料等技術開発」を新規事業として立ち上げるべく、準備を進めております。本事業では、従来の延長上にない画期的な軽量、高強度、長寿命の材料が求められる輸送機器への適用を軸に、革新鋼板、マグネシウム合金、チタン合金、炭素繊維複合材料等の高性能材料の開発や異種材料の接合・複層化技術の開発等を行ってまいります。

また、このような取り組みを含め、我が国産業の持続的発展を支えるために、原材料・部材の供給リスクの低減及び需要面での政策にも注力してまいります。特に、昨今のレアアース問題に対しては、特定国の政策動向等に左右されない事業環境を確立すべく、資源国への直接的な働きかけやWTO協議要請等の外交面における様々な対策に加え、国内ユーザー企業対策としては、省・脱レアアース・レアメタルやリサイクル等の推進に取り組んでまいりました。特に、平成24年度からは、未来開拓研究制度の第一号案件として、レアアース磁石を上回る性能を持ちながら、レアアースを全く使用しない革新的な高性能磁石を、基礎から実用化まで一気通貫の研究開発により実現すべく、「次世代自動車向け高効率モーター用磁性材料開発プロジェクト」を実施しております。
しかしながら、レアアースの潜在的な需要は今後、一部の鉱種を中心に、次世代自動車や風力発電の普及等による影響が見込まれていることから、引き続き、レアアースに関する総合対策の推進に努めてまいります。

経済産業省といたしましては、このような取り組みを通じ、部素材産業の更なる競争力強化を図るとともに、皆様のニーズを踏まえた国内事業環境の整備に積極果敢に取り組み、我が国製造業全体の国際競争力の強化を通じた経済成長の実現を目指してまいります。
最後になりましたが、本年の皆様方の御健康と御多幸を祈念いたしまして、私の新年の御挨拶とさせていただきます。