平成25年 年頭所感

経済産業省製造産業局 非鉄金属課長 及川 洋

 

yobigawa

平成25年の新年を迎え、謹んでお慶び申し上げます。また、昨年は経済産業行政に対する深いご理解と格別のご支援を賜りましたことを厚く御礼申し上げます。

東日本大震災と、これに伴う東京電力福島第一原子力発電所事故から一年半以上が経過いたしました。被災地の皆様の御努力により被災地の復興・再生が進め られている一方で、未だに多くの課題が山積しております。また、現下の経済情勢に関しては、少子高齢化の進展に伴う国内市場の縮小、東日本大震災やそれを 契機とした電力問題、原材料調達制約の問題など、厳しい事業環境にありながら、円高や世界経済の減速といった外的要因も重なり、大変厳しい状況に直面して いるものと認識しております。
このような状況においてこそ、産業界と政府が一体となり、将来のビジョンと戦略を共有しながら、あらゆる諸課題に対して真摯に取り組むことにより、真の意味で「日本経済の再生」を実現することが可能になると確信しております。

近年、製造業において非鉄金属業界を含む我が国部素材産業の国際競争力の高さと世界への影響力の大きさに注目が集まっております。当省としても、再生可 能エネルギー発電設備や蓄電池の高性能化、輸送機器の軽量化等に資する高品質・高性能な部素材を生み出す産業に対する支援は、エネルギー政策としても意義 のあるものと考えており、部素材産業の更なる競争力強化を梃子にした我が国製造業全体の国際競争力の強化、ひいては経済成長の実現を目指してまいります。
例えば、低燃費化を実現する次世代自動車・航空機・高速鉄道の軽量化と安全性の両立が挙げられます。これには従来の延長線上にない画期的な軽量、高強 度、長寿命の部素材が必須であり、各部素材を適材適所に用いるマルチマテリアル化による最適設計・軽量化を推し進める必要があります。このため、アルミニ ウムやチタン、マグネシウムなど、これまで、素材・業界ごとに進められてきた研究・技術開発を見直し、優れた技術及び知見を有する産学官が素材・業界横断 的に一体となり、研究開発段階から事業化を志向して推進する「未来開拓研究制度」のもと、「革新的新構造材料等技術開発」を新規事業として立ち上げ、全力 で取り組んでまいります。本プロジェクトでは、軽量化が求められている輸送機器への適用を軸に、強度、延性、靱性、制震性、耐食性、耐衝撃性等の複数の機 能を同時に向上する合金や複合材料等の高性能材料の開発、異種材料の接合・複層化技術の開発等を行ってまいります。これにより、各種材料の特性を最大限活 かした軽量化により大幅な燃費向上を実現する輸送機器の設計・開発につなげ、製造業全体の国際競争力の強化を目指してまいります。

一方、こうした発展を支えるためには、原材料や資源の確保についての取組みも大変重要になります。新興国の急激な経済成長等を要因とする原材料需要の増 大や資源ナショナリズムの台頭といった状況を踏まえつつ、我が国製造業が安定的かつ持続的に国内で操業ができるよう、資源の安定供給確保に万全を期してま いります。特に、レアアースについては2010年以降、中国当局による輸出規制の強化を受け、当省としては、資源外交の強化や中国以外のレアアース鉱山権 益の確保を進めるとともに、国内での代替材料・利用量削減の技術開発、リサイクルに対する支援を実施してまいりました。その結果、業界、企業の皆様の御努 力とこれまで講じてきた政策の効果等により、一定の効果が表れてきていると認識しております。他方、次世代自動車や風力発電の世界的な普及拡大により、レ アアース・レアメタルの需要増加が見込まれていることから、引き続きレアアース等に関する総合対策の推進に全力で取り組んでまいります。

また、こうした研究開発等の取組みに加え、産業構造改革にもしっかりと取り組んでまいります。昨今の厳しい事業環境を鑑みると、一刻も早く、景気動向や 円高等に左右されない強靱な産業構造や企業体制を構築し、経済成長を続ける海外市場の需要を獲得していくことが極めて重要であると考えております。昨年、 一部の非鉄金属業界において、大手企業間の経営統合が発表されましたが、これは経営資源の合理化、世界市場での事業展開、生産性の向上等により世界市場で の競争力強化を目指すものであることから、当省としても大変高く評価しております。伸銅業界においても、国内市場の縮小による需要の減少や円高などの厳し い経営環境を克服するためには、経営資源の合理化や新規需要開拓など様々な戦略の構築・実施が求められており、皆様方が積極果敢に取り組まれることを大い に期待しております。

最後になりますが、本年も相変わらぬ関係各位のご理解とご支援をお願い申し上げるとともに、皆様のますますのご発展を祈念しまして、新年のご挨拶とさせていただきます。